さて随分ご無沙汰の語り場と、同じくご無沙汰のYG。
第一作であり唯一のリレー小説形式だった
創世無幻殲機YG。
3年前の4月にスタートした本作品を、語り場を通じて今一度語っていきたいと思います。
<今回の参加者>
わたりどり
当サイトの管理人で、YGシリーズの創始者。
脚本の大筋は彼が考えた。
T支部関連の物語はほとんどわたりどりが担当。
かわち
マッチョビルダー(彼自身がマッチョというわけではなく、作風がマッチョ。ちなみに彼は細マッチョである)の異名を持つニクラー。
かわちのキャラクターはどれも人間味のある人物が多く、良い意味でクズが多い(何
YGシリーズを手掛けた三人の中で最も、魅力的なキャラクターを生み出すことが得意。
やまちゃん
最近HNが変わり、周囲を混乱させるヴィジュアル系ニクラー。
いつまでヴィジュアル系ニクラーと呼ばれるのかは誰にも分からない。
王道かつアツい展開には定評がある。
また、本作の真の主人公である「紅葉 鍵」を生み出したのはやまちゃんである。
この功績は大きい。
しょうやん
今回のインタビュアー。
本作には関与していないが、後にYGオリジナルシリーズである「YG~AFTER WAR~」を執筆。
魅力的なエピソードがなかなか評判。
また、YGに限らずバイオニクルやHFのオリジナルストーリーには定評がある。
管理人のわたりどりは、彼が生み出す脚本のファンである。
しょうやん(以下、しょう):え~、それではいきなりですがYGに関するインタビューを始めたいと思います。
わたりどり(以下、とり):よろしくお願いします。
やまちゃん(以下、やま):よろしく。
かわち(お前に『以下』などない!):よろしくお願いします。
しょう:それではまず、物語の大まかな流れをお願いします。
とり:YGをかなりざっくり説明すると、「突如現れた地球外生命体(通称オルタナティブ)を倒すために作られた巨大ロボット『YG』に乗る少年少女たちの物語」です。しかし実際には敵はオルタナティブだけではなく、別の支部の人間だったり国軍だったりと様々な相手と戦わねばなりません。YGを管理する会社はYCLと呼ばれてるんですが、YCLの各支部のパイロット達は、最初は敵同士として戦うこともあったんですが、次第に協力するようになり、最終的には巨大な悪と戦うために一致団結することになります。
かわち:支部同士の戦いといえば「岩手戦」が目玉だよね。
やま:というか岩手戦が最初で最後だった気もする。
しょう:と、言いますと?
とり:岩手戦というのは、「違法YGを作り始めたK支部を倒すために向かったT支部」と「違法YGを隠ぺいするためにT支部を潰そうとしたK支部」との戦いなんですが、これはT支部とK支部の司令官達の思惑だったので、パイロット達にはあまり正しい情報は伝わってなかったんですね。そして、友達同士だったT支部作初号機パイロットの津田七海とK支部作初号機パイロットの黒田大輔は「友達同士で闘う必要はない」と意見が一致し、戦闘を中断し和解・・・という流れです。その後、他支部のパイロット達とも交流が増えていったので戦う機会がなくなり、YG同士の戦いは行われなくなったんです。
しょう:なるほど。
かわち:初のYG同士の戦いだったから、なかなかアツかったね。
やま:YG同士の戦いとなると、この後は「各支部のYG」VS「国軍YG」がメインになってくるよね。
しょう:その話は後ほど伺います。
しょう:では続いて、各支部の簡単な説明をお願いします。
とり:では僕から。
T支部は東京に位置するYCLのひとつで、総司令官は田所という男です。
3機の正式YGと、2機の違法YGを持っています。
所属パイロットは津田七海、藤咲愛理、中村重吾の3人。
かわち:K支部は北海道にあるYCLのひとつで、総司令官は河碕です。
3機の正式YGと3機の違法YGを保持してましたが、違法YGのひとつ、K支部作四号機は製造中に事故で欠番となったので、実質5機のYGを持ってます。
所属パイロットは黒田大輔、松方卯月、山本拘輝、加藤猩、寺内四季の5人。
やま:Y支部は福岡に位置するYCLのひとつで、総司令官は中目黒という男です。
3機のYGと3機の違法YGを持ってます。
所属パイロットは紅葉鍵、本田明、白石翔子、山崎雄二、夜桜千早の5人。
しょう:YGといえば各支部のキャラクターとその絡みが魅力的ですよね。ところで、各支部が対立関係になったきっかけや、それぞれの思惑とはなんなんでしょう?
やま:元々YCL創立当初の司令官は今のメンバーではなく、田所、河碕、山室という構成だったんです。
山室は平和的解決を好む人物で、彼のおかげで歯止めがかかってたんですが、山室の死後、中目黒という男がY支部総司令官に選ばれてから崩壊が始まりました。中目黒は金のためならなんでもする男で、YGも金儲けの道具に過ぎないと考えてたんですよ。
かわち:一方河碕はYGとオルタナティブとの戦闘をゲームのように考えており、パイロットもゲームの駒だと考え、犠牲も厭わないというスタンスでした。この辺は中目黒と少し似通った考え方です。山室がいた頃はこの考えを隠してましたが、各支部が対立関係になってから本性を現し始め、より対立が深まったって感じです。
とり:最後にT支部の田所は他の二人と違い、正義感溢れる男でした。彼の思想は山室に非常に近かったですね。唯一まともな司令官でした(笑
かわち:でも結局、全員北虹に殺されちゃうわけですが。
しょう:北虹とは?
かわち:北虹は国軍から派遣されたスパイで、YCLを内側から崩壊させることが目的の人物でした。同じくスパイだった沙姫や各支部の司令官、さらに一部のパイロットはこいつに殺されています。
とり:最終的にラスボスの一人になっちゃったよね。
かわち:最初は雑魚キャラというか噛ませ犬キャラとして作ったのに・・・どうしてこうなったのか。
やま:北虹はK支部の司令官の補佐役として潜り込んでたけど、他の支部にも補佐役がいたよね。
とり:一条と二ノ宮ですねー。一条は田所のサポート役で、彼もまともな人間でした。北虹に殺されちゃうけど。
かわち:二ノ宮も大出世したよね。
やま:うん。中目黒の補佐役だったけど、彼の考えに意見を唱え、EXISTに協力することになる。
とり:移動用トレーラーも持ってたし、彼がいなかったらEXISTはあんなに粘れなかったと思う。
かわち:ついつい忘れがちだけど、サポート役としては沙姫さんも忘れちゃいけない。
とり:彼女も元国軍で、スパイの一人でした。しかし段々パイロットの少年少女たちに感情移入していき、彼らを守ることに決めたわけです。国軍を裏切った結果、物語序盤に北虹に殺されて退場しちゃいますけど、彼女がいないと結構大変なことになってましたしね、出番は少なかったけど重要なキャラクターです。
しょう:パイロット以外のキャラクターもそれぞれの考えや個性があるんですね。
しょう:では、国軍とEXISTについて詳しくお願いします。
とり:国軍の解説は僕がしましょう。国軍は、YCLとは別の人類を守るための組織で、その管理はこの国の首相である鳩田という人物が行っています。鳩田は「YGを保有するYCLは危険すぎる」という理由でYCLを潰し、自身がYGの管理を行おうと考えました。部下にYGの設計図を盗ませ、国軍YGというものを極秘で制作し、YCLに襲い掛かります。
物語後半は国軍との戦いがメインとなってきます。
しょう:何故途中からオルタナティブは登場しなくなったんですか?
とり:そもそもオルタナティブが地球に飛来し始めた理由って、七海を助けるためなんですよ。地球を侵略しにきたわけではなく、誤って地球に墜落してしまった七海を迎えに行くために地球にやってきました。T支部の近くにばかりオルタナティブが現れたのは、七海が東京に在住していたから。そして、その七海が大輔を庇って死んだため、オルタナティブも地球へ来る理由がなくなった、ということです。
しょう:なるほど、ちゃんと理由があったんですね。
かわち:続いてEXISTについての説明です。EXISTとは、河碕のやり方に疑問を抱いた大輔、拘輝、四季の3人が結成した反YCL組織で、自分達の手ですべてのYGを破壊し、平和な世界を作るというものです。
メンバーは徐々に増えていき、七海、愛理、鍵、千早がEXISTのメンバーとなります。
さらに沙姫や二ノ宮も彼らの賛同者として協力しています。
長野県に隠れ家を持ち、森の中にYGを隠しています。
やま:作中で次々と支部が壊滅していき、最終的に残ったメンバーは全員EXISTだったよね。
とり:そのEXISTに所属する9人の中でも、生き残るのが鍵、愛理、千早、二ノ宮だけという。
かわち:YGは重要人物や主人公格のキャラまでどんどん死んでいくもんね。
しょう:そこもYGの魅力というか。
やま:うーん、魅力なのかなぁ・・・(笑
とり:犠牲なくして勝利はありえないということですね(何
しょう:では続いて、YGに関する質問です。そもそもYGってなんで作られたんですか?
とり:エヴァにハマった僕とかわちの思いつきだったね(笑
かわち:ヤマンゲリヲン。
やま:YGの名前の由来はそこかよ!(笑
しょう:そういう話ではなく・・・作中でのYGの誕生秘話ですよ。ヤマンゲリヲンも気になりますけど・・・。
とり:「エヴァ面白い!」
かわち:「レゴでエヴァ作ろう!」
とり:「レゴエヴァ難しいからオリジナルロボット作った!」
かわち:「こ、これは・・・!」
とり&
かわち:「ヤマンゲリヲン!!」
とり:・・・って感じだったね。
かわち:懐かしいよ。
しょう:だからそういう話ではなく・・・。
とり:リアル誕生秘話はさておき、YGが生み出された理由ですね。YGの原型は元々、人命救助用の人型ロボットだったんです。
しかし、ある日突然巨大隕石と共にオルタナティブ(七海)が飛来してきて、今後、オルタナティブが襲ってきたら危険だということで人命救助用ロボを改造し、YG零号機が誕生しました。この零号機の専属パイロットは寺崎という人物で、作中の第一話でT支部作初号機に乗っていた人物と同一人物です。
しょう:元は人命救助用ロボだったんですか・・・。しかし、人命救助用ロボがオルタナティブと戦えるんですか?
とり:そこがYGのミソとなるんですが、実はYGの装甲には「オルタナティブ遺伝子」という特殊なものが用いられています。
これは七海が飛来したときに人類が入手したもので、この七海の遺伝子を元にして現在のYGが作られたんです。
オルタナティブは、オルタナティブ遺伝子を持つものでしか傷を付けることができないので、通常兵器ではかすり傷ひとつつかない無敵の防御力を誇ります。
ちなみに、七海が抜群の操縦技術を持つ理由もここにあります。他のパイロットがYGを「操縦」しているのに対し、七海は感覚としては「自分の身体を動かしている」のに近いので操縦が上手いんです。何せ七海のオルタナティブ遺伝子で出来てますからね、車の運転が苦手でも、自分の足で歩くのが苦手、という人はそういないでしょう。
しょう:そんな裏設定もあったんですね・・・奥が深いなぁ。
やま:設定としては、もう一つ忘れてはならないものがあるよね。
かわち:重吾と大輔だけが使った「リミットオーバー」か。
とり:リミットオーバーとはその名の通り、パイロットの感情が最大限まで高まりオルタナティブ遺伝子と共鳴し合うことで発生する現象で、その強さは通常のYGの700倍と言われています。
しょう:ほぼ最強じゃないですか。ただでさえ通常兵器では傷一つつけられないのに、その上強さが700倍って・・・。
やま:でも当然、デメリットもある。だから作中では重吾と大輔しか使わなかったんだけど。
しょう:そのデメリットとは?
かわち:パイロットが必ず死ぬ。オルタナティブ遺伝子との共鳴に体が耐えられず、圧倒的なパワーと引き換えに命を失ってしまうんです。
とり:重吾はオルタナティブを倒すためにリミットオーバーし、大輔は数十体の国軍YGを倒すためにリミットオーバーしたね。彼らの覚醒シーンは「漢の戦い」って感じでかっこよかった。
しょう:すさまじいデメリットがあるんですね・・・。
しょう:YGと言えばもうひとつ気になることがあるんですけど、Y支部作六号機戦ってなんだったんですか?
やま:これに関しては僕がお答えしましょう。Y支部作六号機は、対YG用に制作されたYGの完成作品で、ある人物がこの六号機を奪い、Y支部に復讐をしかけ始めたことでY六号機戦が始まったんです。
しょう:ある人物とは?
やま:厳密には明確にはなってないんですが、山室の息子か、あるいはその親族だと言われています。山室の死後、Y支部を牛耳る中目黒に対する復讐だったんじゃないでしょうか。この戦いは鍵くんの一撃で決着が着くんですが、最終的にY支部のパイロットは3名の死者を出すことになります。
とり:その死亡理由もなかなかエグかったね(笑
やま:ですね(笑
明が雄二を盾にして殺し、戦闘終了後、雄二のことを好いていた翔子が雄二の復讐のために明を殺し、そして最後に翔子も自殺という。戦闘で死んだのは雄二だけなのに死者は3人という不可解な事態に。
かわち:Y支部のエピソードはY支部内で解決するものが多かったから、他の支部との絡みは結構少なかったよね。
やま:六号機が襲ってこなかったらみんな無事だったってことで(何
しょう:では最後に、おそらく最も重要な人物たちについて伺います。作中に度々登場した「河童の面の男」と「結城義弥」って何者なんですか?
かわち:河童の面の男については僕から。彼の正体はなんと、「紅葉鍵と藤咲愛理の息子」なんです。本来、このEXISTと国軍の戦いは、国軍の勝利で結末を迎えるはずだったんですが、世界を救うために、ある「機関」に所属する結城義弥と一緒に未来からやってきた鍵の息子が助けにやって来た、という感じです。
しょう:世界を救う・・・別に国軍が勝っても、世界が破滅するとかいうことはないのでは・・・。
かわち:国軍が勝った場合の未来の話では、国軍はYGを使って武力による世界の統一を行い、さらにその後、「人類補完計画」に近いことを実行するんです。すべての人間の思考を同一にし、争いのない完璧な世界にする・・・それこそが鳩田の目的だったのです。それを阻止するために鍵の息子と結城は未来からやって来たんです。
とり:実はこの「国軍が勝った場合の未来」を描いた作品があります。それは「YG~小さき勇者達~」という、パラレルワールドのYG作品で、登場人物に関連性はないんですが、作中の設定で、「国軍が勝利しすべては国軍の支配下にある」と明確にされています。「YG~小さき勇者達~」は、
YGまとめサイトで読むことができます。
しょう:なるほど・・・つまり、世界を救うためにパイロットの息子が暗躍していた・・・ということなんですね。
とり:そしてすべての鍵を握る人物こそが「結城義弥」です。彼は作中最も謎の多い人物ですね。
結城はとある「機関」に所属しており、機関の命令で、この世界を守ることになったんです。しかし機関のメンバーはこの世界の出来事に直接介入してはいけないというルールがあるので、結城は鍵の息子を使って少しずつ世界を改変させてきたんです。
ちなみに河童のお面は、「未来の人間の素性がバレてはいけない」というルールのため、結城が鍵の息子に渡したものです。センスがない・・・。
しょう:では結城がT支部作五号機に乗った理由とは?
とり:結城が五号機を奪い、七海が初号機で彼を追う。実はこれだけで結城の目的は達成されていたんです。
彼らがT支部を出た後、T支部は国軍によって壊滅させられます。結城は七海を救うために禁忌を犯し、咄嗟の行動で五号機を奪ったんです。
その後結城はルール違反ということでエピローグまで登場しません。多分、機関の偉い人に呼び出されて罰を受けてたんでしょう(笑
しょう:作中では明確にされなかった彼らの正体、実はとても重要だったんですね!
しょう:えー、随分長くなってしまいましたが、これにてインタビューを終了したいと思います。
かわち:長かったなー。
やま:でも久しぶりにYGについて語るとなんだか楽しかったね。
とり:一年間に渡るリレー小説だったもんね。多分僕らの最高傑作だと思うよ。興味を持った方は是非、YGシリーズを読んでみてくださいね!
一同:ありがとうございましたー!